日本における社会的活動は、発展途上でありながらも、難しい状況へ向かっている。もし環境教育活動に携わるのなら、社会の動向を知り、常に情報発信して関わりを維持しなければならない。
日本におけるボランティア活動の動向
世界の先進国に比べると、日本はボランティア活動の分野において発展途上国です。よく知られているように、日本でボランティア活動は1995年以降、国内での大災害をきっかけに発展してきました。NPO法人についても、法整備や市民の認知度も、大災害がきっかけとなって高まっています。さらに、ソーシャルメディアの発達により、あらゆる社会課題が表面化し、人々に知られるようになっています。多くの人々にとって、そういった社会課題に対して行動を起こす人の存在は、珍しいものではなくなってきています。今後も、国内のボランティアやNPOによる活動は、活性化・多角化していくことは間違いないでしょう。
人口減少と成長分野
しかし、日本には、少子高齢化が加速度的に進んでいるという、避けられない現実があります。このことは、社会的活動においても、営利企業と同様、活動に参画する担い手を、組織間で奪い合う現象が激化することを示唆します。私の所属する団体は、確かにもうすぐ設立から12年経過しようとしています。けれどこれから先さらに12年存続させることは、これまでと同じやり方では難しくなります。
確かに、水族館産業や環境教育活動について、その意義は決して小さくありません。しかし、ほかの国際課題であったり、日本政府の成長戦略に直結する分野(地域活性化、子育て、介護福祉などの地域社会の課題解決)に比較すれば、劣後されてしまうものかもしれません。
環境教育ボランティアの今後
私の所属団体は、ボランティアを名乗っていますが、ほかのボランティア団体と少し異質なものだと思います。なぜなら、「ボランティア活動がやりたいから」という理由よりも、「生き物・自然が好きだから」「人と話すことが好きだから」という動機で参画するメンバが多いためです。
一方で、100人を超えるメンバが1つの組織として自律的に運営を継続するためには、定期的に新たな参加者を呼び込む必要があります。ここ最近の採用活動はうまくいっていますが、決して簡単なものではありませんでした。そして、先に述べたとおり、これからはもっと難しくなるはずです。そのため、日本におけるボランティア活動の現状を、もっと理解していく必要があります。
また、団体の財務的支援は水族園に依存しており、これまでは心配はありませんでしたが、こちらも将来的に安定なものである保障はありません。
私は自団体のアドバイザとして、以上の点に対して強い憂慮を持っていますが、同時に挑戦しがいのある課題だと認識しています。ただちに必要なことは、私たちの活動がどのような役割を担っており、どれくらいの意義を社会へもたらしているか、きちんと評価し、人々へアピールすることです。新しい1年も、効果的な打ち手を考え、実施していきたいと思います。
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